原動力は甘いモノ

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「隊長、客人です」 「はぁ?今は忙しいんだ、後にしろ」 「それはちょっと出来かねます」 「あん?」 ふふ。ナイス強行突破。 はいはいごめんねー、お邪魔しますよー。 「……レイノルド、一体何を連れてきた」 「ギルドからの応援です」 「ちっ。言いたいことは山ほどあるが、ちょっとそこで待ってろ」 「はい」 ギルドと各地の部隊とはあまり仲が良いとは言えないからねぇ。よく仕事の取り合いになるんだもん。 「だから、英雄のオレが行ってちゃっちゃとやっつけてきてやるって言ってんだろ?」 「はんっ。英雄なんてのはテメェで名乗るものじゃねぇんだ。命が惜しかったらさっさと失せろ」 「なんだって!?」 「ヤツをどうにかするにはブルーガーディアンぐらいの戦力がねぇと無理だ。ガキが一匹、何になる?」 ほぇ?それ、僕にも言ってる? 自称英雄の自殺志願者クンがしつこく喚いていた。 いるよね、見た目が派手なのを身に着けて強くなった気になっているおバカ。 「あのさ、ちょっといい?」 「──フッ。キミもあのドラゴンに恨みがあるんだね。大丈夫、このボクがヤツを見事にやっつけてみせるから心配しないで」 「……うるさいよ」 「はぃ?」 人の話も聞かないでべらべらと。 出来もしないくせに子供相手だといい気になって、本当に目障りだよ。 「隊長さん。この頭空っぽクンをさくっと黙らせてあげるから、僕のこと認めてくれない?」 「あ、ああ、分かった」 「え、あ。キミ、何の話をしているのかな?」 「ちょっと外に出ようか、自称英雄クン」 『おら。ちゃっちゃと歩けよ』 「ひゃわぁ!?」 リルに押され情けない悲鳴を上げる金ピカ馬鹿。 はぁ。なんでこんなのがのこのこと戦場にやって来てしまうのかな。 「ねぇ、さっさとかかって来てくれない?」 「かかって来いって、いや、出来ないって。どうしてオレが子供のキミに剣を向けなきゃいけないんだい?」 「はぁ。御託はいいから、抜けよ」 「ッ」 自称良い人。どうせこの先も色んなとこで迷惑かけるんだろうからいっそのこと今はここで、ね? 「あー、一応言っておくけど殺すなよ?こんなところで死人が出たら始末書どころの騒ぎじゃなくなるからな」 「ちぇっ」 手加減なんて面倒なことしなくて済んだのに。 とりあえずご自慢の装備をぶっ壊してあげようか。 「ははっ。殺すだなんて、それじゃオレが極悪人みたいじゃないですか」 「勘違いもここまで来ると幸せ者だねぇ?」 「う、うわぁ!?」 どこ見てんの。 はい。まずはぺらっぺらの盾から。 「んなっ!?」 「なんなのこれ。これじゃあ何一つ防げるものがないじゃん」 「ええっ!?マジ?ナニコレ」 軽く殴っただけでバキッと壊れちゃった。 お鍋のフタのほうがよっぽど役に立つと思うよ。うん。 とりあえずゴミは燃やして灰にしちゃうねー。 「あ、あぁ。オレの30万が……」 「えー。バッカじゃないの?金ピカに塗っただけのただの木の板じゃん。普通気付くでしょ」 「だって、だって」 「その調子だとこれも偽物だよね」 肩を落とし転がっていた剣を拾う。 わー、よく出来た模造品だー。 はい。ポキっとね。そして着火ー。 「オレの80万が。オレの10年が。あぁ。あ、ああ……」 「えっと。なんかちょっとかわいそうだからボッタクリの犯人を探してあげて?」 「……了解した」
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