7.極秘事案

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7.極秘事案

7.極秘事案 内調(内閣調査室)の会議室にX実験隊(仮称)の赤城、厚労省の杉田が集まると、内調の山田が言った。 「青木勝一少尉が本人の可能性が高くなりました。 だが、未知の生物が青木少尉の形で出現した可能性も捨てきれない。 X実験隊(仮称)の航空医学部門で、青木少尉を徹底的に調べてほしい」 「分かった、全ての検査を実施する」 X実験隊(仮称)の赤城が言った。 俺はX実験隊(仮称)に移送され徹底的に検査された。 CT、MRI、聞いたこともない装置に放り込まれ、全身をスキャンされて輪切りにされた。 俺は、戦後の医学の発展に驚愕した。 俺の体は、輪切りにされた大脳、脊髄、骨格、内臓のデータが次々画像処理されモニターに立体像で映し出された。 科学者は赤城に人体は成人男性に間違いないと言った。 「次は、知能検査と、心理検査だ。何者かに操られているかもしれない」 X実験隊(仮称)の赤城が言った。 俺は、3時間かけて知能検査と心理検査を受けた。 次は、俺の頭に電極が繋がれた。 試験官が質問して、「イエス、ノー」で答えるように言った。 嘘発見器だと言う。 試験官は次々変わるが、俺は一人で対応しなければならない。さすがに疲れた。 全ての試験を終えて、俺は青木上飛曹だと認められ、感染防止の服からやっと解放された。 「男が青木少尉であることが確認された以上、戦後処理は厚労省の杉田さんの管轄ですね。しかし、青木少尉がタイムトラベルで現れたとなると、国防上最上級の極秘事項になります。 引き続きX実験隊(仮称)の赤城さんから、タイムトラベルの経緯を専門の教授に調査をお願いしてください」 内調の山田が言った。 「官邸には経過を報告しているのか」 X実験隊の赤城が言った。 「官邸にはゼロ戦のレプリカ機を航空法違反で調査中と報告した。 まだ全貌が見えない。総理は気が短いからね。 中途半端な報告はできない」 「だが、このままX実験隊で青木少尉を預かることになると防衛大臣に報告しないと」 「わかっている。だが総理が会いたいと言ったらどうする。戦前の思想信条を持った男を会わすのは危険だと思わないか。教育してからだ」 内調の山田はそう言うと、杉田を見た。 「防衛大臣に経緯を説明すれば、総理に言わざるをえなくなる。ここは、私たちだけに収めておきましょう」 山田が言った。 「まず、現実を本人に認識してもらう必要がある。教育は厚労省の杉田さんにお願いしよう。 一番面倒なのは、皆お国のために亡くなっているが、現代の国民は戦争があったことも知らない世代ばかりだ。 敗戦で国民は民主主義を謳歌していると言っても、理解できないかもしれない」 内調の山田が言った。 「そうですね。昔は、靖国で会おうと言って死んでいったようですから」 厚労省の杉田が言った。
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