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どれくらいそうしていたのか分からないが、目を開けるとまだ窓の外は暗かった。
枕元のオレンジ色の灯りが部屋を染める。
私はしっかりと彼の腕の中にいた。
「日和、起きた?」
「楓君…ごめん、少し寝てた?」
「少しね。痛みは?大丈夫?ごめん、もう少し優しくするつもりだったし時間も短くする予定だったんだけど」
灯りに照らされる彼は心配そうに、そして申し訳なさそうに眉尻を下げている。
ゆらゆらと顔を横に振る。
「痛かった?」
「少し…でも途中から痛みはなかったの。き、気持ちよくて…それに楓君とできてよかった」
「…」
痛みよりも、快楽よりも、彼と繋がることが出来た喜びの方が大きかった。
夫婦として当たり前のことをようやく今実現できたという達成感に浸っている。
私の髪を撫でながら愛おしそうに見つめてくる彼に私は恋をしている。ずっと前から、恋をしている。
彼の手を掴んだ。
「またしようね」
驚いたように目を大きく見開き、困ったように視線を逸らした楓君は小さく息を吐くと呟くように言った。
「そういうこと言われると今すぐしたくなるからやめてくれない?」
「…うん?」
よくわからないまま首を傾げる。まだ全身が筋肉痛になったように重い。
それに伴って瞼も重くなり視界が狭くなると同時に意識を手放す。
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