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8.Subの感情
夢にまで見たルカと再会することが叶い、ジャンの心は晴れやかだった。
まさか失敗していたと思っていた制御の無効化まで成功していたなんて。
壊れてボロボロだったルカと、言葉でコミュニケーションまで取れるなんて奇跡でしかない。
コマンドをかけてみたのは賭けでもあった。
それがあんなに効くなんて、堪らなく嬉しい気持ちになるのは……これがDomとしての本能というものなのだろうか。
それならもっと、めいっぱい甘やかして自分のものになればいい。
あとは、絶対にここから連れ出してやるだけだ。
この施設にとってはボロボロになったSubはお荷物で、誰もそれには興味がないのは幸いだった。
だからこそすんなりと自分の保護下に置くことができたのは本当に約得だったと言える。
このまま慎重に目立つことなく、ルカが人形状態であることを印象付けてから、適当な理由をつけて買い取ることに成功した。
ようやく彼を連れて帰ることができるのだ。
言葉を交わしたあの日だけ垣間見た不安な顔も、もう隠さずに全部見せてくれていい。
自分の意識がないまま奴隷のように扱われ、ボロボロになっていた彼を思うと悔しくて堪らない。
これからは優しく愛して、ドロドロになるまで甘やかしたい――――
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