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4.少年ジャン
時は少し遡る。
Dom家庭に生まれ育った少年ジャンには、大好きな幼なじみがいた。
自分の家に居場所がないと寂しそうに蹲る少年のことが気になって、初めて声を掛けたときの嬉しそうで控えめな笑顔がずっと心に居座っている。
何故だか両親はあまりいい顔をしなかったので、大人の目が届かない場所を探したり、こっそりと自室に連れ込んでみたり……彼と秘密を共有しているようで嬉しかった。
キラキラと輝くハニーブロンドの髪と瞳が眩しくて、たまに陰を見せる表情が儚げで、彼から目を離すことができなくて。
このままずっと彼と一緒にいたいと、幼心に決意していた。
そんな彼は、ある日突然姿を消した。
いつもの約束の場所にいない。
何かあったのかと、何度も彼の家に行ったがそのたびに門前払い。
近所の人や、仕方なく自分の家族に尋ねてみても、まるで彼の存在自体を知らないかのような口振りだ。
もしかすると、長い夢でも見ていたのだろうか。
いや、彼は確かに存在したはずだ。
諦めきれずに探し回ってみたものの、まだ子どもだった自分にはどうすることもできなかった。
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