俺と君とそれからのこと

7/11
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 俺はすぐには意味を掴むことができなくて、真下をじっと見つめた。  今コイツは好きと言ったか? 誰を? まさか、俺を?  真下は茹でタコのように真っ赤で、額には汗が浮かんでいる。その様子が、冗談ではないと物語っていた。 「真下……」  俺が口を開いた時、ガタッと勢いよく真下が立ち上がる。  ええ⁉︎ なにごと? 「待って、待ってくれ! 返事はしなくていいから!」 「え⁉︎ でも」 「嫌だ! 聞きたくない! 小林が引っ越す前に、伝えたかっただけだから! 返事はいらない!」  そう言い放つと先に帰る、とカバンを抱えて図書室を飛び出していった。 「えぇー」  置いてけぼりを食らった俺は、思わず声をもらした。ちょっと、あんまりじゃないだろうか。言い逃げかよ。  ふと机を見ると、いつの間にか図書だよりは全てホッチキス止めされていた。  こんなところはやっぱり真面目だな。  図書だよりを手に取って俺は笑った。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!