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俺はすぐには意味を掴むことができなくて、真下をじっと見つめた。
今コイツは好きと言ったか? 誰を? まさか、俺を?
真下は茹でタコのように真っ赤で、額には汗が浮かんでいる。その様子が、冗談ではないと物語っていた。
「真下……」
俺が口を開いた時、ガタッと勢いよく真下が立ち上がる。
ええ⁉︎ なにごと?
「待って、待ってくれ! 返事はしなくていいから!」
「え⁉︎ でも」
「嫌だ! 聞きたくない! 小林が引っ越す前に、伝えたかっただけだから! 返事はいらない!」
そう言い放つと先に帰る、とカバンを抱えて図書室を飛び出していった。
「えぇー」
置いてけぼりを食らった俺は、思わず声をもらした。ちょっと、あんまりじゃないだろうか。言い逃げかよ。
ふと机を見ると、いつの間にか図書だよりは全てホッチキス止めされていた。
こんなところはやっぱり真面目だな。
図書だよりを手に取って俺は笑った。
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