俺と君とそれからのこと

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「あの話って本当なの」  何の前触れもなく投げられた問いかけに、俺は目をパチクリとさせた。  机を挟んだ正面には真下(ましも)が座っている。眼鏡のレンズの向こうの目は真剣そのもので、俺はちょっと戸惑ってしまった。  放課後の図書室でのことである。整然と並べられた机に座っているのは俺たちだけ。別に二人で仲良く勉強会を開いていたわけではない。  確かに真下は外見通り頭が良いらしいから、俺みたいな万年赤点ヤローにも勉強を教えることはできるだろうけど。真下とは他クラスだし、勉強を教えてもらえるほど親しくはなかった。  机の上にはプリントが散乱している。来週配布予定になっている図書だよりだ。  俺は図書だよりを止めるためのホッチキスを持ったまま、何だってと聞き返す。  俺と真下は同じ図書委員で、委員の仕事でこんな時間まで残っていた。といっても、これは本来は俺がやらなくちゃいけない作業で、真下はそれを手伝ってくれているだけなのだが。  俺の学校の図書だよりには本のレビューが載っていて、これは図書委員が書いている。レビューの担当は順番制で回ってくるのだが、俺はうっかり書くのを忘れてしまっていたのだ。  おかげで印刷がギリギリになってしまい、責任を取ってホッチキス止めは俺がやることになった。全クラスに配布する図書だよりの量に絶望していた時に、手伝うと声をかけてくれたのが真下だった。
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