生徒会長

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生徒会長

「どうして特別室なんかにしたんだ!」  初日を終え、部屋に戻ってきたエリスは、まっ先にクロードに怒りをぶつけた。 「おかげでずっとジロジロ見られて……気分が悪いったら!」 「仕方ないでしょう……特別室以外の選択肢はなかったのですから」  クロードは眉一つ動かさない。 「でも!」 「良い方向に考えてみては? 注目を集めたことによって、ジョナサン王子の情報が得られやすくなるかも知れません」 「……とてもそんな風には考えられない」  エリスは大きくため息をつくと、話題を変えた。 「これから友達が来るから、お茶の準備を。特別室を見てみたいらしい」 「ここが特別室……すごいなあ」  やってきた友達というのは、ロイであった。 「それに……君の執事さん、とっても素敵な方だね! それにこの紅茶とっても美味しい!」 「おほめにあずかり光栄です。失礼ながら『スカラー』でいらっしゃいますか?」 「えっ! わかるんですか?」 「ええ、そのジャケットでわかりました。大変優秀でいらっしゃるのですね」 (スカラー……? ジャケット……?)  エリスには、クロードとロイの話している内容がさっぱり理解できなかった。 「あの、二人とも……何の話をしているの?」 「アーサー様、ロイ様のジャケットを見て何か気がつきませんか」 「ロイのジャケット……?」  そう言えば、エリスや他の生徒のジャケットは無地であったが、ロイのジャケットはストライプ地だ。 「ロイ様のジャケットは、ウィンストン校において、学業が優秀な生徒のみが着用を許される名誉あるものです」 「すごい! そんな人と友達になれたなんて!」 「二人とも、ほめ過ぎだよ……僕なんてルーイ兄さまの足元にも及ばないんだから……」 「ルーイ兄さま……? ルーイ兄さまって誰?」 「ルーイ兄さまはこの学校の生徒会長なんだ。ルーイ兄さまっていうのは下級生の間で呼ばれているあだ名で、本当の名前はルードヴィッヒさまって言うんだ」 「へえ……ルーイ兄さまって呼ばれているくらいだから、よほどみんなに慕われているんだね」 「うん! そうなんだ、ルーイ兄さまは見た目も良くて、何でもできて……でも、とっても気さくでみんなに優しい、本当に素晴らしい人なんだ。伝説の生徒会長と肩を並べられるのは、ルーイ兄さまだけだってみんな言っている!」  ロイは、目を輝かせながら、生徒会長について熱く語った。 「え? 伝説の生徒会長……?」  また新しい登場人物が現れた。 「あ、伝説の生徒会長っていうのはね……」  ロイは今度は、伝説の生徒会長について熱く語るのであった。  
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