少女小径

拗らせたのは誰のせい？

だけど、そういうのって心が捻れるんだ‥‥、
大人は無邪気で間抜けな子供が好きなくせに、
アンタ達のご機嫌次第で、こっちはいつも散々、
弄ばれてとんでもなく、何もかも拗(こじ)らせちゃうんだよ！

それは、上野動物園で
初のパンダの赤ちゃんが生まれたのにも関わらず、
たった２日で死んでしまった
ニュースを見た日の出来事で、

あまりに無常過ぎる、その日を境に
あたしは登校するのを辞めた。
担任の女教師とあたしとの確執の顛末は、
まず食べるのを一切辞めたあたしを
心配した両親に、大袈裟に泣きじゃくって訴えて、
市会議員の先生から教育委員会を巻き込んで、
とりあえず向こうの謝罪で終わらせるという、
大して面白くはない結末だったかも知れない。
所詮、悪しき者の性根など、どうにもならない。
全く、子供相手に己れの感情さえ上手く操れない、
哀れな女教師！
弱き者への八つ当たりの罪は重いよ？

やがて長い夏休みも終わり、次の学校での初日、
無難になんとかやり過ごして、校門を出たあたし。

仄暗い気持ちを無理矢理、胸の中にねじ込んだ
仏頂面のあたしの前に現れたのが、大人に対して
同じ嗅覚っていうの？感覚を持ってそうな澄んだ、
鋭い目をした、カオリちゃんだった、
初対面はバス停で。
「アタシ、間宮カオリ。5年３組だよ、
３組だけ違う階にあるんだ、よろしくね！」

バス停で、そうニッコリ話しかけられた。

「あたしの名前は、来栖(くるす)なつめ。２組‥だったかな？」
「アハハ‥‥、覚えてないの？フフッ、
てか何組かなんて、どっちでもイイよね！
アタシもそう、学校とか先生とか、親とか、ほんと
どっちでもなんでもいいの‥それよりアタシ達、
友達になれそうだね！バスも偶然、一緒だし。
なつめちゃん、どこで降りるの？」

祖母の家に、私は住民票を移し、
Ｈ小学校へは、そこから通う形を取って、最近
バス通学することになったばかりで、
この辺のことはよく知らない。

カオリちゃんは、終点の『弥勒(みろく)園』だと言う。
私の降りる停留所の２つ先だった。