小径(しょうけい)の怪

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花冠が落ちないように頭を押さえながら再び、 走り出した私達の後を タッちゃんとナオトくんも、追いかけてくる。 雑木林の入り口で立ち止まると、カオリちゃんは、 「此処からは、私達だけで行くから!」と告げ、 「だってキミたちきっと迷子になっちゃうよ?」と。 私達は、自分の頭の花冠を、男のコ達の頭に 載せてあげる。 「王子様たち、ではよろしくね!アタシ達が戻ってくるまで、この国を悪い大人から守るのだぞ!」 『弥勒園』この小さな国では、いつ何時も 子供たちの口約束は、守られよう。 すぐさま、あたしとカオリちゃんは、 四つん這いになり、木々が絡まって出来た、 小さなトンネルを潜る。 雑木林に一歩、踏み入れば、その中はまた、別世界。 次第に薄暗く、心許ないあたし達の頼りは、 一匹のまだらな蛇のように、 曲がりくねった小径(しょうけい)
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