Prefazione

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Prefazione

  緑豊かで古風な街の郊外にその店はある。そこにはかつて、優しすぎる英雄と旅を共にした仲間がいた。英雄と仲間はどんな彼でも旅を続けたいと望んだが、彼は負い目を感じて英雄から離れた。代わりに、英雄と出会った街の郊外に英雄が喜ぶような店を建てた。   彼――スファレライトが旅の余生をすべて費やした店は、英雄に感化されたことがよく分かるほど優しい喫茶店であった。   儲けは無いも同然であり、普通ならば取り壊される店だったが英雄と旅をした功績から取り壊されることはなかった。   それから、その店にはある噂が生まれた。  『死んだ店主の幽霊が出る』   大きく太い(つた)がレンガの壁を覆い、英雄が彼に贈ったとされるヘリクリサムという花は雑草のように育ちきっていた。その見た目からそのような噂が囁かれてしまったのだろう。   彼の幽霊を見たいがためにこの店にやって来る者は後を絶たない。   今日もまた1人――
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