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晴れ晴れとした朝。街では小鳥が鳴き、住人が一斉に挨拶を交わす。
少し騒がしい居酒屋に、とある旅人がやってきた。
『カラン』
「いらっしゃい! 好きな所に座っておくれ!」
旅人は騒がしいテーブルを抜け、カウンター席に座った。飲み物とつまみをいくつか注文し、店員に話しかけた。
「すみません。このあたりで魔法石を専門に扱う人を知りませんか?」
「魔法石専門? いやぁ、知らないねぇ」
どうやら旅人は持っている魔法石を鑑定したいようだった。
「良かったら、オレに見せてくれよ」
「わかるんですか?」
旅人は訝しげに店員に魔法石を渡した。
それはとても美しい透明な紫の欠片だった。欠片だけでもこれほど美しいのだから、すべての欠片を集めたらきっと目眩がするほどの魔法石が完成するのだろう。
「魔法石の欠片か! こりゃ相当気合い入れたんだなぁ。これじゃぁどの魔法石かわかんねぇよ」
旅人はやはり肩を落とした。仕方ない。この店員が見て判断するのは、形と色だけだからだ。この店員に欠片を見せたところでどちらの欠片か見分けがつかないだろう。
「でもよーく見てみるとなんか濃い青みたいな色してるから、きっと水系統の魔法石だろ」
ほいよ、と店員は魔法石を返す。
「呪いの魔石」
「え?」
「それは呪いの魔石の欠片だ」
隣から口を出されて店員は睨みを効かせてきたが、言葉の意味を理解すると青ざめてその場から去った。言葉の意味を知らない旅人は興味津々といった風だ。
「これは魔法石じゃないんですか?」
隣にいる旅人の顔を見てエールを置き、その欠片に目を向ける。
「魔法石の上位にあるのが魔石だ。上質な魔力や呪いのような魔力を好む性質があるから普通の人間じゃ扱うことが出来ない。それを見るに、記憶を封じる呪いがかかってる」
『カタン』
おもわず旅人が欠片を落とした。その欠片をエールを持っている手とは反対の手で拾う。
「ほ、本当なんですか? 記憶を封じる呪いって……」
「欠片だから効果は無い。欠片をすべて集めたら効果は出るだろうな」
旅人に魔石を返し、店員に金を払って帰ろうと席を離れる。
「あの! 実は他にも見てもらいたい魔法石があるんですけど、見てもらっても良いですか?」
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