Con cordialità

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 「2人とも!」   旅人が店に入ってきた仲間を呼ぶ。1人は青くてつばの広い帽子を被った、やけに青を強調する服を着ている。もう1人は女性のような見た目をしているのに、腕や足の筋肉が凄まじかった。   近づいてきた2人に旅人は説明する。 ・・・ ・・ ・  「――というわけで、彼も今日から仲間だよ!」  「「「はぁ!?」」」  「なんで君も驚いてるの?」   「いや、俺は仲間になるとは一言も――」  「僕のパーティはバランスが良くて万能型ではあるんだけど、魔法石(まほうせき)魔石(ませき)とかは全然知識が無いから駄目なんだ。お願いだ! 僕達の仲間になってほしい!」   旅人は頭を下げて仲間になって欲しいと願う。2人はというと、先程は驚いたものの今は旅人の言動にやや呆れていた。  「ウチのリーダーが悪いね。でも、リーダーが言ってることはホントでさ、魔法石の知識はウチラには無いんだ。だから正直、いてくれると助かるさ。安心して。ウチラはこれでも腕は良い方なんだ」   青い帽子の女性も手を合わせてお願いする。気づくともう1人も頭を下げている。   「――俺は魔法石や特殊な石を専門に扱えるだけの、ただの男だ。手先が少しだけ器用で、石以外の知識はそんなに持ち合わせていない。もし、あんた達がそれで納得するのであれば」  「もちろんだよ」  「私達がいるから安心しなさい。たったそれだけしか出来ないと思っていても、それが私達にとって役に立つことなのよ」   筋肉の女性が手を握る。   何故か、今までやってきていたことが悪い夢だったように全ての過去がぼんやりと滲んで見えた。   「――『』だ。こんな俺を仲間に入れるなんて、バカだと思うぜ。少なくとも俺は」  「バカでも良いさ。だって僕は君を、ライトという人間を欲しがったんだから」   筋肉の女性は手を離した。代わりに旅人が手を差し伸べる。その手を取るのに躊躇があったが、旅人は気にせず握る。  「僕の名前は。『ペリドット・ゾラー』だよ」   旅人――ペリドットは太陽のように明るい笑顔を向けた。  「ウチラをバカだって言うんなら、ウチラのパーティを選んだアンタもバカだね!」   ペリドットの隣に青い帽子の女性が立った。  「ウチの名前は! 『アクアマリン・ミアー』っていうの。あっ! ウチを呼ぶときは、アクアって呼んでね」   青い帽子の女性――アクアは人懐っこい笑みを浮かべていた。   筋肉の女性はペリドットの隣には立たず、少し離れた所に立っていた。  「私の名前は。『オパール・シュムック』よ。気軽にオパールって呼んでもらって構わないわ。よろしくね。ライト」   筋肉の女性――オパールは優しい笑みを浮かべた。その笑みはまるで、暗闇で泣いている子供を救い出すときのような笑顔だった。  「「「ようこそ! 我ら『星の煌めき(ステラ・シンティッリーオ)』へ!」」」
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