二日目──罪

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 明日真は渋々といった様子でベッドから出ると、寝間着のTシャツの上に上着を羽織った。  明日真を(ともな)い部屋を出ると、白川はドアに掛けられたプレートを一瞥して「嫌な名前だな」と小さく呟いた。  眠そうに目をこする明日真を従えて、白川は玄関脇の『怠惰』の部屋に向かう。  彼が何を考えているのか、俺にもさっぱりわからない。  しかし明日真に同行を求めたあたり、さすがの彼も夜中に一人で死体を見に行くのは怖かったのかもしれない。意外に可愛いところがあるじゃないか――などと呑気に考えていられたのも、白川が『怠惰』の部屋のドアを開けるまでだった。  小さな豆電球の明かりに照らされた部屋。死の静寂に満たされた部屋に、変化など起きようもないはずだった。  しかし―― 「え……?」  明日真が目を丸くし、呆然と立ち尽くす。  なくなっていた。  つい一時間ほど前、ベッドの上にあったはずの鈴代の遺体が。シュラフごと姿を消していた。  空のベッドを前に、愕然(がくぜん)と俺も固まる。  鈴代の荷物はきちんとベッドの下に置かれている。なのに、肝心の遺体がない。 「どうして……」  俺と明日真の呟きが重なった。  どうして鈴代の遺体がなくなっている?   まさか、鈴代は生きていたのか?  いや、そんなはずはない。彼は確かに死んでいた。  ならば誰かが遺体を持ち去ったのだ。でも誰が? 何のために?
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