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クラスメイトは悲鳴をあげ始め、怯えていた。
「降りろ!危ないだろ!」
教師の慌てふためいた声が響く。
一花は動じることなく柵の上に立って、呆れた表情で言った。
「お前らはこんな時でも何も出来ない。」
落ちたら死んでしまうほどの高さを背に、一花は恐怖のひとつも見せずに言う。
「私には帰りたい家族もないし、話したい友達も恋人もいない。」
クラスメイトの全員が一花を見つめる。
「生きようが死のうがどっちでも良い。」
「そんなことはないだろ!」
真剣な顔をして説得する教師にひと目も向けず、一花はクラスメイトを睨み続けて言った。
「ただお前らに“二人も死なせた”という実感を持たせたい。」
笑みを浮かべる一花。
「ただそれだけだ。」
一花の体が後ろに傾き、悲鳴を浴びながらゆっくりと倒れていく。
教室から一花の姿が見えなくなった。
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