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優弥が亡くなってから数週間が経った。
教室は賑やかで、みんなが楽しそうに話している。
一花は席を立つと、後ろの席からイスを取り出して、そのまま窓にイスを思いっきりぶつけた。
大きな音をたてて窓ガラスが割れる。
突然の暴動に教室が静まりかえった。
みんなの視線が一花に向く。
「このイスに頭をぶつけてアイツは死んだ。」
一花はそう言うと、持っていたイスをクラスメイトに向かって放り投げた。
咄嗟に悲鳴をあげてよける生徒達。
「お前らさ。」
一花は呆れた表情をして言う。
「何もしなかったな。」
生徒達は一様に怯えていた。
「私がいじめられてた時も、優弥が死んだ時も。」
一花は机を蹴り飛ばす。
「何もしなかったよなぁ!」
静まる教室に一花の声が大きく響いた。
「能無しが。」
一花は嫌みったらしく言った。
「何もしない事しか出来ないバカが、バカのくせにのうのうと笑ってんじゃねーよ。」
クラスメイト達は一様に驚きの表情をしている。
一花は睨みをきかせながら言う。
「お前らもアイツを殺した。」
いっきにクラスの空気が張りつめた。
「お前らも私をいじめた。」
生徒達は唾を飲みこむ。
「なにしてるんだ!」
教師が慌てた表情で教室に入ってきた。
「一花ちゃんが、急に怒り出して。」
近くにいた生徒が怯えた表情をして言った。
「おい、なにしてんだお前。」
教師は、割れた窓ガラスの前に立つ一花を見て、心配そうにする。
「とりあえず、危ないから保健室に行くぞ。」
一花はその言葉を聞く様子もなく、教師に冷めた目を向けてベランダに出た。
「なにしてるんだ。いい加減にしろ。」
諭すような教師の言葉をよそに、一花は迷う様子もなくベランダの柵を登った。
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