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女子更衣室に連れてこられた一花は、3人の女子生徒に囲まれていた。
「ちょっとは反省したんじゃない?」
藍里はニヤりと笑いながら一花に詰め寄る。
一花はあの後、いっさい反省の色を見せなかったが、教師に頭を捕まれ、藍里に対してむりやり頭を下げさせられた。
反省文を書いてくるまで登校禁止も言い渡され、保護者まで呼ばれて、5枚の反省文を提出していた。
「さすがに次は退学だよね。」
藍里は面白そうに笑う。
後ろにいた藍里の友達は一花を睨み付けていた。
一花は呆れた表情をして、藍里を鼻で笑った。
藍里の取り巻きが言う。
「なによその態度。」
憎たらしい表情で一花は言う。
「死ね。」
ぶちギレた藍里は、思いのままに一花の胸ぐらを掴んだ。
「ちょっと!」
「藍里、落ち着いて!」
驚いた友達が藍里を止めて、藍里は力を緩める。
周りの友達がひとつ提案をした。
「あれ、やってやろうよ。」
一花を睨み付けた藍里は、いやらしげな笑みを見せた。
「そうだね。」
怒りが押さえられない様子の藍里は、感情をそのままに、ポケットからカッターを取り出して、机に置いてあった自分の体操服を切り刻み始めた。
ボロボロになった体操服を一花に見せつけて藍里は言う。
「これ、アンタにやられたって、先生にバラしたらさ。アンタ、ヤバイんじゃない?」
悪い顔をする藍里。
「言うこと聞いたら許してあげる。」
一花は冷たい目をして静かに言った。
「何をすればいいの?」
藍里は嬉しそうな表情で言う。
「私の靴の裏、舐めよっか。」
楽しそうな声で言いながら藍里は片足を前に出した 。
張りつめる空気。
一花は前に出された藍里の足を勢いよく踏みつけた。
「痛い!」
藍里が足をどかそうともがくも、一花がグリグリと踏み込み始める。
「痛い痛い痛い!」
思わぬ反撃に驚いた友達が一花を突き飛ばした。
「ちょっとなにやってんのよ!」
後ろの壁に背中をぶつける一花。
藍里は心配そうな友達に囲まれていた。
「もう許さない。」
一花を睨み付ける藍里。
藍里は体操服を持って、友達と更衣室を出ていった。
一人になった一花は、張りつめた空気が溶けるのと同時に、大きなため息をついた。
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