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教師が血相を変えてやってきた。
「アイツどこいったんだ…」
放課後の教室には人ひとりいなかった。空の教室を見て去っていく教師。
一花はベランダに座りこんでいた。
壁で隠れた一花の体は教室からはいっさい見えず、教師は全く気づかなかった。
小説を読みふける一花。
ベランダの扉が開いて、一花は顔をあげる。
「帰らないの?」
クラスメイトの優弥だった。
「なに?」
話したこともない彼に怪訝な顔をする一花。
「もう、日が暮れそうだから。」
睨み付けてくる一花に、動揺する優弥。
「ほら!いつまでもここにいるわけにいかないじゃんか!」
「なにが目的?」
冷たい視線を向ける一花。
「好きだから」
優弥は真っ直ぐ彼女を見つめた。
「女を見る目、養ったら?」
呆れたように言う一花は、彼を避けてその場を去ろうとする。
「顔がタイプ!」
優弥の思わぬ一言に、一花は立ち止まって振り返った。
「顔が、めちゃくちゃ、タイプ。」
一花は優弥を見つめた。
「私、美人だから、分からないでもない。」
一花は表情ひとつ崩さず言う。
まさか自分で自分を褒めちぎるとは思わず、優弥は驚いていた。
「なにしてるんだ!」
空気を割って、教室に怒り狂った教師が入ってきた。
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