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「どういうこと。優弥。」
指導室に現れた優弥を、藍里は睨み付けた。
「お前しょうもないんだよ。」
優弥は気にせず言い詰める。
「一花に友達がいないからって、一花をいじめだしたのお前だろ。」
「は?」
「その体操服も、自分でやったんだろ。」
机にはボロボロの体操服が置かれていた。
「じゃあ証拠は?」
優弥は口をつぐんだ。
教師は一花に話を促す。
「お前も黙ってないでなんか言ったらどうだ。」
場の空気が静まった。
「めんどくさ」
一花は誰の目も見ず言いはなった。
「お前なぁ」
教師の呆れ顔をよそにスマホをいじり始める一花。
「大事な話の最中だぞ!」
その態度に、声をあらげる教師。
一花は一目もくれず、机にスマホを放った。
『これ、アンタにやられたって、先生にバラしたらさ。アンタ、ヤバイんじゃない?』
一花のスマホから藍里の悪びれた声が流れる。
『言うこと聞いたら許してあげる。』
『何をすればいいの?』
『私の靴の裏、舐めよっか。』
驚きで固まる優弥と教師。
藍里は鬼の形相で、一花に向かってスマホをぶん投げた。
「こういうとこが嫌いなんだよ!」
「おい、落ち着け。」
怒り始めた藍里を教師がなだめる。
「バカにすんじゃねーよ!ブス!」
「お前、やめろ。」
「お前なんか居ても居なくても変わんねーんだよ!」
荒ぶる藍里に目もくれず、落ちたスマホを拾う一花。
「危ないんで帰ります。」
一花は気にすることなく指導室を出ていこうとする。
「おい、待てよブス!」
藍里は一花を追いかけようとしたが教師に止められ、罵声を吐き続けた。
「死ね!お前の生きる場所なんかねーんだよ!」
「いい加減にしろ!」
教師に叱られても暴論が止まらない藍里。
教師に目配せをして、優弥は振りかえることなく出ていった一花の後を追った。
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