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「なんでもっと早く言わなかったんだよ。」
優弥がついてくる事を気にせず一花は歩いていた。
「早くああしてれば、誤解も解けたのに。」
振り返らずに一花は言う。
「めんどくさいんだよ。」
優弥は呆れ気味に言った。
「停学になったかもしんないだろ。」
一花は何を言っても歩く速度を緩めない。
「いてもいなくてもどっちでもいいでしょ。」
「よくない。俺はいてほしい。」
初めて振り返った一花は怪訝な顔をしていた。
「どうして。」
一花は優弥に睨みをきかせる。
「好きだから。」
空気が静まった。
一切、身じろぐことのない優弥に、一花も言葉を詰まらせた。
「趣味が悪いんだよ。」
悪態をついてまた歩き出す一花。
優弥は追いかけることなく後ろから一花を見送っていた。
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