いじめられガール

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教室がお喋りで賑わう中、藍里は優弥を問い詰めていた。 「どういうつもりなの?」 優弥は悪びれずに言う。 「俺なんも悪いことしてないんだけど。」 藍里の友達が優弥を囲んで言った。 「藍里のことチクったでしょ。」 「なに優弥、アイツのこと好きなの?」 藍里はその話を聞いて笑った。 「趣味悪すぎでしょ。」 優弥は嫌そうに顔をしかめる。 「そうだけど、それがなんなの。」 動じない優弥に苛立つ藍里。 「気持ち悪いんだよ!」 「なんだと!」 二人の荒ぶった声に教室が静まる。 優弥は怒りそのままに立ち上がって言った。 「高1にもなっていじめなんかやってるお前の方が気持ち悪いんだよ!」 「うるさい!」 藍里が優弥を突き飛ばした。 勢いよく飛んだ体が机にぶつかり、姿勢を崩して倒れてこむ優弥。 ぶつけた箇所をかばいながら優弥は言う。 「だからお前のことフったんだよ」 「うるさい!!」 藍里は座り込む優弥の頭を勢いよく蹴り飛ばした。 衝撃で頭を思いきりイスにぶつける優弥。 悲鳴があがり、どよめく教室。 藍里は友達に止められて後退りをした。 「いってーな。」 頭を庇いながら優弥は藍里を諭すように言う。 「落ち着けよ。後でゆっくり話そう。」 優弥は立ち上がってみんなをなだめた。 「驚かせてごめん。なんでもないから。」 神妙な顔をする生徒達。 その時、教室に一花が戻ってきた。 いっせいに一花の方を向くクラスメイト。 「なに。」 一花はしかめた顔で冷たく言い放つ。 「なんでもない!なんでもないから!」 優弥が笑って誤魔化して、クラスメイト達は目を伏せた。
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