はじめての・・・合コン! 2

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はじめての・・・合コン! 2

 否定はできない。現に、おやぶんが電話をしてこなければ明日の目的すら忘れていたのだ。  「で、具体的にどうするねん。上手いことやれ言われてもな、どうやったらうまい具合になるんか、分からんぞ」  「せやからや、例えばジェットコースターに乗るとしても、さりげなくふたりが一緒に乗るようにしむけるんやって」  どうやったらそんなことが出来るのか知らないが、女子たちが考えてくれるだろう。こういうことは、男子よりも女子の方がはるかにいい知恵を持っている、気がする。  「まあ、なんとか持ち回りで順番にしたらええかなあ」  「そんなとこや」  おやぶんはどちらかと言うと男子寄り、強いて言えば漢寄りなので、発想は僕らに近い。たぶんいい知恵は持っていない。  「それと、岡本と真木には言うたか?」  「いや、言うてない」  「せやな。うちも言わん方がええ思う」  別に秘密にしたいわけではないが、せっかく合コンで盛り上がっているのだ。実は西田と愛美ちゃんなる女子をひっつける為のものです、と知ったら楽しさが半減してしまうかもしれない。もちろん、彼らは友人の為に全力を尽くせる男たちだから、事実を言っても喜んで協力してくれる。でも、せっかくの合コンなのだ。おもいっきり楽しんでもらいたい。  それと、もうひとつ理由がある。  「真木はともかく、岡本は自然に、とか出来ひんやろ」  そうなのだ。岡本のことだ。さりげなくふたりをひっつける、などという芸当は出来ないに違いない。本人的にはさりげなく「ふたりで乗ったらええやん」とか「お似合いやで」などと高らかに言いそうなのだ。知らないふり、などということができない筋金入りの大根役者なのだ。嘘をつかない誠実さは、こういう時仇になる。そういう不器用さも愛すべき男、岡本である。  「真木は気づきそうやけどな」  「勘ええからな」  おやぶんが唸る。  「まあ、気づいたら気づいたでええわ。真木ならなんとかしよるやろ。うちらはうちらでなんとかしよ」  なんとかしようと言われても、僕もおやぶんも計画性とは無縁の人生を歩んでいるのだ。僕らはケース・バイ・ケース、臨機応変という、僕らのような人種には非常に便利な言葉に乗っかることにして、「明日はなんとかうまいことして、西田と愛美ちゃんをひっつける」という、話しあわなくてもメール一通で決められそうなことのみを決め、電話を切った。
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