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「……さあ、お急ぎください。まずはドレスを」
「ねぇ、つむじ」
「何ですか」
「私、何だか頭がいがいがするの」
「あら、大変。風邪かしら。大事な日なのに」
「ずっといがいがするの。まるで、誰かに頭の中をなぞられてるみたいに」
「気のせいではないですか。最近夜更かしばかりで、眠れていないせいでは?」
「今日は、体調がよくないみたいなの。だから」
「気のせいですよ。さあ、急いで」
つむじはもう待てないとばかりに、フーのドレスを脱がせてしまった。
頭がいがいがする。
花嫁衣装は、これまで着たことのない繊維でできていた。しゃりしゃりして、ざらざらして肌触りがとても悪くて重いのに、見た目はとても軽くてやわらかそうなのだった。
「ぴったりですわ」
本当か無理矢理なのか、つむじはそう言って背中をぽん、と叩いた。
「立派なお姫さまですわね」
「ねえ、つむじ」
「何ですか?」
「頭がいがいがするの。ずっと」
「大丈夫かしら。頭痛の薬を持ってきますね。あとで」
「今すぐ行って」
「……そうですね。申し訳ありません。すぐに取って参ります」
あわててつむじは、部屋を出て行った。
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