フーとウー

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 そして今、塔の明かりがふっと消えた。いつもの時間だ。牢屋の番人は、規則正しい人物のようだった。  白い寝巻きを脱ぎ捨て、黒いマントをはおった。扉を静かに開く。振り返ると、つむじの寝息がまだ聞こえている。この部屋は寝静まっていて、フーの衣ずれの音くらいではびくともしない。  フーは一番長いろうそくを手に取って、部屋を出た。思ったよりもロウソクの明かりは強かった。黒いマントで、出来るだけ隠して、進んだ。  一日で一番ひんやりした空気を吸いながら、木々に隠れて歩いていく。ウーの塔が、だんだん近づいてくる。闇がどこまでも追いかけてきて、フーの足が、速まる。  あっという間に、塔の前にたどり着いた。入り口の前には、門番が座ってうとうとしている。 「不用心な」  耳元でささやくと、門番は飛び起きた。 「はっ、失礼いたしました。……あっ、えっ? あの」  門番は黒いマントから照らされた顔を見て、驚いた。 「フー様」 「しっ」  フーは辺りを見渡した。無人だ。大丈夫。人の気配はない。 「私の名前を、呼ばないで」 「……はっ、すみません」 「お願いがあるの。何も言わずに、塔に入れて」 「はっ。……えっ? 塔に?」
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