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とにかく、雨の国の王子レインは、美しかったのだ。侍女のつむじにとっても、そしておそらくは二番目のフーにとっても。
最初に声をかけたのは、レインの方だった。レインにとっても、異国の姫は、この世にない美しさに映ったに違いない。二人は、簡単に恋に落ちた。
「それから二番目のフー様は、一番目のフー様を探すこともせず、恋に夢中になったのでございます」
「あら。……大変。では、お姉様はお二人とも、雨の国にいるっていうの」
「いえ。それが。二番目のフー様はレイン様と、消えてしまったのでございます」
「えっ……それは、消息を絶ったと、そういうこと?」
「そうなりますでしょうか。気づいた時にはフー様のお姿はなく、聞くとレイン様も消息が分からなくなっておりました。お二人はすっと風船が割れるみたいに、突然いなくなってしまったのでございます」
「どういうことかしら」
「さあ。私が言えることは、雨の国はおそろしい。恋に落ちたら、おそろしいということでございます」
「私、雨の国には行かないようにするわ。だってハヤテ様と、早く結婚したいもの」
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