彼女とゴキジェット

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彼女とゴキジェット

深夜3時頃、コンビニでバイトをしていると 20代前半くらいの女性が、神妙な面持ちで入店してきた。 彼女は入り口近くに置いてあったゴキジェットを手に取ると 他の商品には目もくれず、レジまで一直線に歩いてきた。 彼女は一言、 「お願いします」 とだけ言い、ゴキジェットをレジの上に置いた。 彼女は握りしめていた千円札を差し出し、 364円のお釣りを受け取ると、 「ありがとうございます」 と言い、店を後にした。 店を出る時の彼女の後ろ姿は、 まるで戦場に赴くような、 20回以上挑んでも倒せないでいるボスに挑戦しに行くような 何か覚悟を決めたのだろう、とても堂々としていた。 入店してきたときの彼女とは、もはや別人だった。 僕は一人になった店内で、 「頑張れ」 と、一言そう呟いた。
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