われら冷蔵庫探検隊

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われら冷蔵庫探検隊

夫 えー、我々は冷蔵庫探検隊である!   ただいまより、我が家の無法地帯、   冷蔵庫の中身の廃棄処分、および清掃と整理を執り行う! 妻 イエッサー! 夫 隊員一号よ、なぜ我々が今回の任務を課せられたのか、わかるか? 妻 はい!それは、わたくしめが、本日の朝ごはんの食卓に、   賞味期限が切れた納豆を提供したからであります! 夫 その賞味期限は、いつだったか覚えているか 妻 はい!一カ月前であります! 夫 2,3日過ぎたぐらいじゃ、俺もそこまで口うるさく言わないが、   さすがに一カ月前の納豆は、やばいだろぉ…? 妻 はい!やばいであります! 夫 新種の生命が誕生しかけた納豆を、おまえは見たことがあるか? 妻 もしかしたら寝かせることで、さらに美味しくなる可能性も… 夫 「ほう、これは何年物だね?芳醇な香りと、渋みが…」   って、納豆は、ワインじゃなーい! 妻 はい!納豆は、ワインじゃないであります! 夫 わかっているなら、よろしい。 妻 イエッサー! 夫 では、早速、冷蔵庫の中身から確認していく。 妻 イエッサー!…あ、隊長! 夫 なんだ、隊員一号。 妻 早速、賞味期限1週間を経過済み、未開封の豆腐です。 夫 未開封…か。うーん…しかし、豆腐…。   よし。それは、今晩、麻婆豆腐行きだ。   熱と辛さで、うまく中和されることを祈ろう。 妻 イエッサー! 夫 ちなみに、麻婆豆腐に入れる、ネギはあったか? 妻 観賞用にもってこいのネギが、野菜室に一本。 夫 ネギ坊主は観賞用じゃねぇぇぇぇ!栽培するなぁッ! 妻 い、イエッサー! 夫 まぁ、可食部分はまだあるから、何とかなるだろう。 妻 イエッサー! 夫 次は…なんだ、これは?カサカサに乾燥した大量の魚? 妻 はい!それは、元しらすであります! 夫 しらす?全て化石化してるじゃないか! 妻 イエッサー!見た目も中身もカルシウムたっぷりであります! 夫 廃棄だ!こんなもの、俺の食事に混ぜられたら大変だ。 妻 イエッサー。 妻 …あっ、隊長!賞味期限、2週間切れのちくわを発見いたしました。 夫 そ、それは… 妻 見た目的には、全く問題ありません! 夫 …ちなみに、この場合、隊員一号ならどうする。 妻 はい!素知らぬ顔で、きゅうりを中にぶち込み、   夫の晩酌のおつまみにします! 夫 …よりにもよって、生かよ… 妻 アルコールの同時摂取による殺菌作用が期待できるかと。 夫 いや、ここは、やめておこう。というか、やめてくれ。 妻 イエッサー…。 夫 お次は野菜室だ。…なんだ、このドロドロの緑の液体は…? 妻 はい!それは、元きゅうりです! 夫 きゅうり!?まさか…こんな変わり果てた姿になって…! 妻 「いつかちくわと結ばれたい」…それが彼の最後の言葉でした。 夫 それなら、さっきのちくわと2週間前に結ばせてやれよ!   それだけ時間があれば、十分結合できただろうよ!…廃棄! 妻 イエッサー! 夫 こっちは…なんだ、この葉物野菜は? 妻 はい!それはニンジンであります! 夫 ニンジン?食べる部分が全くないのだが? 妻 ちょっとだけ残ってしまったニンジンの頭の部分。   彼はそこからド根性で新芽を伸ばしたのです!   アメイジング!これを奇跡と呼ばずに、なんと呼びましょう? 夫 だからって、こんなにフサフサになるまで放置するな!   廃棄だ、廃棄。 妻 イエッサー。 夫 ちょっと、待て…隊員一号。   野菜室の奥に、未確認触手生物の影が潜んでいるのだが? 妻 はい!それは、芽が伸び切ったジャガイモであります! 夫 あれが、ジャガイモ?見るからに邪悪な気配を醸し出しているが? 妻 もう、いっそのこと母なる大地に還してしまいましょうか。 夫 いや、ペットの小動物の埋葬じゃないんだから。これも廃棄だ。 妻 イエッサー! 夫 ふぅ…結構、廃棄作業も進んだな! 妻 はい!廃棄された食べ物達には、少々心が痛みますが… 夫 黙れ。もし、あれを食べたら、次に痛むのは、俺の腹だ!   今回はやむなく俺が指揮管理を行ったが、   次回からは、隊員一号が、しっかり賞味期限を把握し、   食材の管理を徹底するように。頼んだぞ。 妻 イエッサー! 夫 うむ。 妻 しかし、隊長。 夫 なんだ。 妻 まだ、闇の巣窟が残っておりますが… 夫 な、なんだと? 妻 「腐らないから」という理由で、何ヵ月も放置された食品が眠る   冷凍庫がまだ手付かずであります! 夫 …。
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