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「だいこんのまち」の端に、たくさんの作物が無造作に投げ捨てられ、山となっていた。どれもこれもいびつな形で、ひん曲がったり、あざができていたり、真っ白く変色しているものもあった。
「そいつらは売り物にならん。いずれまとめて廃棄するんだ」
帰りのトラックの中で親父がそう言った。手塩にかけて育てた割には、淡泊な言い方だった。
「のんびり土いじり」なんて暢気なフレーズがあるが、農作業はそんなに甘くない。まずは土を耕してからの食い扶持減らし、つまり草刈りをする。それから種をまいて、水やり肥料やり。寒さに弱い作物には寒冷紗をかけて、足掛け3カ月。そうしてようやく出荷できるようになる。
「娘を送り出す」なんてたとえがあるが、野菜の出荷なんてそんなロマンティックなものじゃない。一日何千と捌く作物の一つだ。いちいち別れを惜しんだりしない。それが終わったら、何もなかったかのように別の畑の収穫に向かう。
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