兵士の独白

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 だが、そうやって綺麗に箱詰めされて人さまの手に渡るのだって、ちゃんと育った優等生たちだ。生まれつき、形がおかしかったり、病気に弱かったりする半端もん共は、作物としてすら扱われない。ひとまとめにされて朽ちていくのを待つばかりだ。  瞼の裏のスクリーンに、そんな半端もんの作物たちが映った。それはみるみると人の形に変わっていく。黒焦げの、体中の水分が蒸発して縮れた炭人形が山積みになっている。 足は曲がり、腕はもげ、胴はひしゃげて・・・。 にんげんが、こんな形になるのか・・・。  仏様がいたって、こんな死者を受け入れたがりはしないだろう。  みるとその一人一人の顔に見覚えがあった。  ああ、そうだ・・・。トミオカ、ヒワダ、シキシマ、それに、サイジ。  俺の兵学校の同期たち。今度の戦争で散っていった、桜たち・・・。  突然、閃光があたりを包み、轟音とともに俺の体は炎に包まれた。 表皮が、筋肉が、消し炭へと変わり、骨は解けていく。体の内側から苦しみが迸った。  同期たちの死体はすでにその爆風にあおられて、もはや土との区別がつかなくなっていた。  目を開けた時、お天道様が俺の顔を覗いていた。
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