兵士の独白

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 イサカはもういない。そんな訳の分からない状況のなか、俺は次の戦地へ投入された。  ここら一帯ではこの時期になるとイナゴの大群が現れるのだという。しかし今は、鉛の弾が体のすぐ横をせわしなくかすめていく。  俺は着弾痕のくぼみに跳びこむ。くぼみの外で、前に見た新兵がはいつくばっておびえているのが見える。くぼみに引きずり込もうと半身を乗り出した時、轟音とともに俺は新兵の頭上を舞っていた。    地にたたきつけられたとき、いつのまにか俺は今の自分の状態を冷静に確認していた。    欠損部分、右腕と左足。  体の向きに対して視界はあり得ない方向を向いていた。首がねじれたのだろう。  なんだか体が小さくなった気がする。おそらく俺の体には大穴が開いている。    ああ・・・、そうか。大砲にやられたんだ・・・。  体の方はとっくに死の準備を進めているようで、全身の神経は感覚を受け取ることをやめていた。    もう、これが自分の体なのか、はたまた土の一部なのか、もはやわからない。  脳は次第に考えることをやめていく。  こうして体は大地に、「俺」という存在は霧の中へと還っていくんだ。
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