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「サイジが死んだ。砲弾に吹っ飛ばされたってさ」
ひとりの一生が終わったことをあっさり告げたこの男の言葉に、俺もまた淡々と相槌を打つだけだった。死体の焼ける香ばしいかおりも、地平線の向こうで唸っている炸裂音も、戦友の死も、もはや騒ぐことではない。それで俺は瓦礫に腰掛けて、相棒のイサカとこうして駄弁っている。
話題も尽きてきて退屈になったので、俺はお気に入りの新式ライフルを傍らに寄せてもてあそぶ。
ア型・六式。祖国が誇る銃器設計者「アガタ技師」渾身の作。採用年にちなんで六式と名付けられた。こいつはレバー操作によって連発を可能にした革命児で、今までの先込め式とはわけが違う。あれは装填の途中で敵弾の餌食になることも珍しくなく、現場からの評判はすこぶる悪かった。それが運のいいことに、今回の『大戦』で我々に徴集がかかると同時に、この新型兵器が導入されたのだ。
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