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20歳になった記念にと、地元の男友達数人で初めて出場した市民マラソン大会。ゴールした後の居酒屋で、友達は皆、俺より先に完走したくせに「もう絶対来年は出ねえ」と音を上げていたが、俺だけは走り切る爽快感にハマってしまい、それから毎年エントリーするようになった。
5千人近い参加者数の中、1年目はドベに等しい順位でゴール。ジョギングが日課になった2年目は大体真ん中くらい。3年目も似たりよったりだった。
1年目に一緒に走った友達は、いつも応援に来てくれていた。
小学校3年間同じ卓球部だったムラケン。
腕相撲では右に出る者がいないシバたん。
昔、大喧嘩をして殴り合ったナベっち。
この4人が揃えば、いつだって笑いに溢れてた。
4人で居れば何だっておかしくて、4人で居れば最強になる。
だけど皆、時が経てば成長し大人になっていく。それぞれが選んだ道を進み、昔みたいに馬鹿ばっかりやってられなくなる。
マラソン大会に参加し始めて4年目。沿道に皆の姿はなくなった。就職を機に3人は上京、地元には俺だけが残った。
「東京に来た時は、俺んち泊まらせてやるよ」とムラケン。
「たまには連絡取ろうな」とシバたん。
「彼女が出来たら報告しろよ」とナベっち。
マラソン大会から皆の声援は消えたけど、俺はそれからもずっと走り続けている。
9年目の10位という成績は、仕事と睡眠以外のプライベートを全て奪うほど俺の闘魂に火を灯し、マラソンシューズを今までにない期間で履き潰させた。
来年は絶対1位をとってやる。そう心に誓った。
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