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「チンすけなら行けるぞー!」
懐かしい声は、残り百メートルを切った沿道から届く。
「え、ムラケンっ」
そこには無精髭を生やしたムラケンが、にししと白い歯を見せていた。
「チンすけはやればできるだろっ」
その隣にいるのはシバたん。あはは、少し太ってる。
「チンすけのいいところは諦めが悪いところだろー!」
ナベっちは、俺なんかよりずっとかっこよくなっていた。
「頑張れチンすけー!」
「あと少しで抜けるぞ!」
「諦めんなー!」
3人の声援は7年ぶり。皆の声が鼓膜に響くだけで、俺は最強になれる。
俺は地面を蹴り上げた。皆の投げてくれた紙ヒコーキが見えたんだ。
負けない、負けない、負けないさ絶対。俺の紙ヒコーキが1番遠くに飛ぶんだから。
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