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新潟発19時23分に間に合った。
21時20分、無事東京駅に到着した。
すでにMIROCのスタッフが丸の内側に車を回していた。
「カシワバラ・レイコさんですね」
堅苦しい事務員風のおっさんだった。
椎名さんのパイロット姿をちらりとみて、それでもこういう事には慣れているのか、顔色ひとつ変えず彼に告げた。
「本部の、ミズタニです。こちらの方に事情をお聞きするよう、本部指令室より言われましたので私がお連れします」
「事情を?」
「はい、テラモトは空港の保安警備に捕まり、その後県警が逮捕したそうです。指名手配がかかってましたが、ご存知ありませんでしたか?」
お疲れさまでした、と今度は彼女をうながした。
「待って」
車に乗りかけた玲子が、急にミズタニに何かを言ってこちらに走ってきた。
ミズタニはそのまま、待っている。
玲子は椎名さんの元まで走り寄ると、彼の腕をとって少し離れた場所まで連れて行った。
「何?」
「ちゃんと、お別れをしなくちゃ」
「お別れ?」
「レイコ、もうマンションには戻らない。事情聴取が終わったら、そのまま海外に出るわ」
彼は「そう」と返事したきり、黙っていた。と、急に腕を引き寄せられて、唇を奪われた。
長い、ながいキスだった。
やめてくれ、息ができない!! 固まる椎名さんは心の中で絶叫。
ようやく放してもらった。玲子は
「やっと、願いが叶ったわ。次に会ったら何しよう? リーダー」
悪戯っぽくにっこり笑うと、あとは振り向かずに去っていった。
甘い香りだけが残った。
ちょうどその時、後ろから急に声をかけられた。
「あれ? オジサン?」
ぱっとふり向くと、なんと港で別れたあの若造、コードネーム・リンクス。
「おじさん、仕事見つかったんだ? 警備会社? でも東京で?」
どうも、連れと飲みに出かけてる最中らしい。後ろの数人の中に、またケインとラスコーを見つけた。
「あ」
「誰? 知合いなの?」
他のヤツらに聞かれている。
何人かは玲子と赤いS3000を物珍しげに見送っていた。
「うん、ええと」(バカ黙れ)
またまた必死の目線攻撃をふたりに送る。
ケインがやっと気づき、咳払いしてこう言った。
「仕事、ロシア系企業みたいだね、よかったよかった」
ラスコーがまたぷっと吹き出した。
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