組長と少女

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「お嬢さんも悪くないけど…」 少女は先に空いているカウンター席の丸椅子に座りながら、そう言った。 「おじさんは、名前なんて言うの?」 「ワシか?ワシは千夜権蔵だ」 「センヤゴンゾウ?じじむさい名前。私は、有花。橘有花よ」 「有花さんか。何故、1人で、酒を飲もうとしてた?」 「別に死ねれば何飲んでも良かったんだけどお酒なら、泥酔死で楽に死ねるかなって」 「まだ未成年の内から何故、死のうと思った?」 ワシは少女…有花の隣に座って、先程の店員がオレンジジュースを持って来たのを彼女に渡す。 「邪魔者だから、私。お父さんは大学教授で単身赴任していて滅多に連絡も寄越さないしお母さんは弟さえ居れば良い人だから」 「有花さん、初対面のワシに、そこまで話して良いのか?」 有花はストローでオレンジジュースをクルクル回しながらワシも見ずに言った。 「良いじゃない。どうせ、死のうと思った位なんだから。ゴンゾウおじさんもレイプでも売春でも何でもすれば?」 やれやれ。 この様子だと有花は友達と呼べる仲間も居ないのだろう。 家庭内でほっとかれてヤケになって家出してきたと言ったところか。 ワシは真顔で有花を見詰めた。 有花も視線を感じたのか、ワシを見る。 「なら、そうさせてもらおう。店員、バーボンを持ってこい」 「は、はい!」 店員はギョッとした様だが、ワシと目が合うと、氷をグラスに入れて、ボトルを開けた。 「丁度、女に飢えていたところだ。まだまだ若いが、その方が食ったら旨い」 ワシは、そう言いながら有花の小ぶりの乳房を片方、手で揉んでやる。 「ちょ…!?止めてよ!」 有花はビクッとして、両手でワシの手を退けようとするが、ワシの手はビクともしない。 「何しても良いのだろう」 ワシは揉む手に力を込めた。 柔らかく弾力と張りが服の上からでも解るのは若さの成せる業か。 「そ、そうは言ったけど…!何も本当にすることないじゃない!」 有花は今にも泣きそうな顔でバシバシとワシの手を叩く。 この反応でワシは解った。 本気で死ぬつもりなら、この程度で動揺する筈が無い。 大方、死にたいと言えば、誰かが何とかしてくれる。 そう言う甘えが有花には有るのだろう。 「じゃあ、もうヤケは起こさないか?」 尚も揉みながらワシが言うと、有花の目から涙がこぼれ落ちる。 ちと、お灸が効き過ぎたかもしれんな。 ワシが手を離すと有花は腕でゴシゴシ目を擦った。 「だって今更、家には帰れないし…」 「家を出て何日もまだ経っていないだろう」
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