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「ゆうこ。俺が、こうしないと、自分の気持ちに、大嘘をついてしまうことくらい、わかるだろ?」
別れたいなんて、本心で言ったことじゃないのだから。
由子が悔しそうに唇を噛みしめる。錆びついた鉄の味が、僅かに、広がる。
「大っ嫌い」
今にも泣き出しそうな都を、見ているうちに、自分まで、泣きたくなる。
「都を、幸せにしないシィノブ君なんて、大っ嫌いよ」
だから、笑った。
転校しても、都への気持ちを諦めないと、カケオチの最中で、誓ったであろう幼なじみに対して。
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