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そんなことを考えていたら約束の時間の5分前となっていた。
慌ててもう一度鏡に向かって、身だしなみの最終確認をする。髪の毛はちゃんとセットしてアホ毛が出てないし、ニキビ跡もコンシーラーで隠せていた。
完璧に準備ができたので、俺はスマホの電源を入れた。
「久しぶり、マナちゃん」
映し出された彼女の姿を見て、俺はそう声をかけた。冷たい画面の向こうで、彼女は俺と同じように笑った。
「うん、久しぶり。元気だった?」
「うん、元気だった。マナちゃんはどう」
「私も元気」
「それは良かった。久しぶりに会ったけど、変わってなくて安心した」
そんな少しぎこちない会話から始まり、20分ほど話してマナちゃんとの会話を塩崎は終えた。
久しぶりの会話に精神的な体力を消耗した彼は、「はぁぁーー」と意味のない声を出しながらベットに倒れ込む。
「やっぱり、マナちゃんは俺の理想だ」
俺は長い黒髪をさらりと撫で、クスリと笑った。その笑顔は、ダチュラの花のように可愛らしかった。
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