久しぶり、マナちゃん。

4/4
前へ
/5ページ
次へ
 そんなことを考えていたら約束の時間の5分前となっていた。  慌ててもう一度鏡に向かって、身だしなみの最終確認をする。髪の毛はちゃんとセットしてアホ毛が出てないし、ニキビ跡もコンシーラーで隠せていた。  完璧に準備ができたので、俺はスマホの電源を入れた。 「久しぶり、マナちゃん」  映し出された彼女の姿を見て、俺はそう声をかけた。冷たい画面の向こうで、彼女は俺と同じように笑った。 「うん、久しぶり。元気だった?」 「うん、元気だった。マナちゃんはどう」 「私も元気」 「それは良かった。久しぶりに会ったけど、変わってなくて安心した」  そんな少しぎこちない会話から始まり、20分ほど話してマナちゃんとの会話を塩崎は終えた。  久しぶりの会話に精神的な体力を消耗した彼は、「はぁぁーー」と意味のない声を出しながらベットに倒れ込む。 「やっぱり、マナちゃんは俺の理想だ」  俺は長い黒髪をさらりと撫で、クスリと笑った。その笑顔は、ダチュラの花のように可愛らしかった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加