夏の罪

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夏の罪

その男は、突然やってきた。 風の強い日だった。 それでも梅雨の貴重な晴れ間だったから、わたしは洗濯物をベランダに干してバイトに出かけた。 衣類をハンガーにかけた上から洗濯ばさみできっちり固定したので、大丈夫だろうと思っていた。 だけど、帰ってきたら洗濯物のいくつかが風で飛ばされていた。 情けなさを噛みしめながら路上に落ちていたTシャツや部屋着を拾い集め、隣接するアパートとの間に落ちていたタオルを拾い上げた。 他にはないかとアパートの周りを歩き回ったけれど、とりあえずは見つからなかった。 初夏でよかった、冬だったらもう暗い時間帯だから落ちているものを見つけるにも苦労しただろう。 回収した洗濯物をひとまとめにして洗濯機に突っこんでひと息ついたとき、チャイムが鳴った。
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