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その日のお迎えの時間、園長が夏希を呼ぶ。夏希と遊んでいた華は卓海が来たのだとわかり、夏希をそちらへ押し出す。
「はなせんせー、いっしょー」
甘えた声でいわれたが卓海には会いたくない、とりあえずホールの入り口まで送ったが。
「ぱーぱ」
廊下に出た夏希が声を上げるが手は離してくれない、華はしゃがみこみ夏希の手に手を添えて離すよう促す。
「華、いるの?」
卓海の声にどきんと心臓が跳ねあがる。
「華、来いよ」
いわれて目だけをドア枠のはじから出す。
「貞子かよ」
ありえない角度の華に卓海は微笑む、それが華にはまぶしく感じた。
「お前んちに電話した」
「はあ」
「ちょうどおばあちゃんがうちにごはん届けようとしてたらしいから、これから来てくれるって、ご両親も一緒に」
「は?」
「申し訳ない、本当ならこっちから行って挨拶しなきゃいけないところを、来てくれるっていう言葉に甘えた。あ、お前は来れたら来て」
「はあ!?」
華はさすがに夏希を連れて卓海の元へやってきた。
「え、どういうこと!?」
「プロポーズしましたっていったら、まあ、ありがとうございますって」
「なに勝手なことしてんの……!?」
「いや、俺も今度華とあいさつしたいですっていっただけなんだけど、なんだかどんどん話が進んじゃって、まいっかって」
「まいっかって!」
自宅の電話番号を教えてしまったことを呪った。
「え、なに、その態度。今更断るつもりか」
「え、あ、う」
「夏希もせっかく華をママって呼べると思ったのになあ」
いって卓海は夏希を抱きしめた、夏希は嬉しそうな声を上げる。
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