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「──ママって柄じゃないんですけど」
「じゃあお母さん」
「おかーしゃん!」
「──とりあえず、園では華先生って呼んでほしい」
恥ずかしげにいうが、
「はーい、華先生」
「はなせんせー!」
改めていわれると、そのほうが余計に恥ずかしく感じた。
「よおし、夏希帰ろう。おばあちゃんのご飯が待ってるぞ」
卓海に抱き上げられた夏希が元気に手を振って別れの挨拶をするのを、華と園長は見送る。
そして笑顔で園長はいった。
「岩堀先生も、もう帰ってもいいわよ?」
華はつんと背を向ける。
「いいですよ、決められた勤務時間まで──」
いってふと思う、自分がいない間にどんな話をするのだろう、本当にどんどん勝手に話を進められてしまうのでは──。
「──すみません、帰ります」
素直な詫びに、園長は微笑む。
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