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卓海に手の平を向け否定するように振った、そのまま顔を隠すように固定する、どうにも歯切れが悪い自覚はある。
「踏ん切りが、つかないだけ」
「踏ん切り?」
なんとも不遜な言葉に、卓海は不機嫌に聞き返す。
「だって藤原だよ? 高校時代は3年間顔突き合わせてて、今更って感じだしさ。それが園児の保護者として現れて好きになるとかさ、ありえないじゃん」
「ありえないってなんだよ」
「だって、それってやっぱり、奥さん亡くしてかわいそーとか思ってるのかなとか思うし、それってやっぱり弱味に付け込んでるみたいで後ろめたいし」
「それは別に華のせいじゃないし、大体好きになったら、それでいいんじゃね?」
「好きになったなんて、いってな……」
今さっきの自身の発言を無視して声を上げかけた時、目の前の夏希と目が合った。
言葉の全てがわかるわけではないだろうに不安そうな目でじっと華を見つめていた、華は慌てて再度顔を伏せる。
「お母さんね、あなたなら大丈夫だと思うよ」
急に神妙な声になり、敦子は夏希の髪を撫でながら語りだす。
「継母は苦労はあるだろうけど、あなたなら乗り越えられる。おばあちゃんもいったけど、これもご縁よ、断るならもっと納得できる理由をつけなさいな」
「こ、断る理由なんて……」
今いったことが全てだ、踏ん切りがつかない。
「私は義理とはいえこんなかわいい孫ができてうれしいわ、うんうん、夏希ちゃん、かわいいわねえ! お父さんも喜んでたわ、早く会いたいって!」
父はまだ会社員として勤務している、電話で連絡するとみんな揃って会おうといっていた。
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