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「卓海さんのご両親や奥様のご両親も喜んでくださっていうから、華も腹を括りなさいよ。ってことで、あとはおふたりで話して決めたらいいわ、あ、今夜からはこっちで暮らす?」
「家に帰るわよ!」
「あらそう、別にいいのにぃ」
笑顔でいって敦子は立ち上がる、礼子もわずかに遅れて立ったのは卓海と同時だった。卓海は来てくれた礼とねぎらいをしながら玄関まで見送る。まもなく卓海は夏希を腕に抱いて戻ってきた。
「さて、お華さん。申し開きを聞こうか」
華は恨めしさを込めて卓海を下目遣いに見上げる。
「……んもう……なんでももう、あっちこっちに報告済なのよ」
「当たり前だろ、まさかお前がここへ来て、そこまで渋ってるとは思わなかったし」
「ごめん、渋ってるわけじゃ」
「ああ、踏ん切りな」
卓海が元居た椅子に腰かけると、夏希はすぐに華に手を伸ばし抱っこをせがんだ。華はためらうことなく夏希を抱き上げる。
「……一番は、奥様かな」
華は小さな声でいった、千晶に申し訳なく思う。
「──ああ」
卓海も小さな声で答える。
「──まあ、それを負うのは俺だし、亡くなったのも出会ったのも、華のせいじゃない」
いってそっと華の髪を撫でた、艶やかなぬくもりが心地いい。
「千晶は忘れない、それが嫌なら諦める」
「違うよ、むしろ忘れてほしくない、夏希ちゃんのお母さんだよ?」
名を呼ばれて何事かと夏希は華を見つめる、あどけない大きな黒い瞳に見つめられて華は夏希を抱きしめた。
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