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それを持ちキッチンに入ると洗い始める。
「華ぁ、本当に今日から一緒に住んでもいいんだぜ?」
卓海は夏希を抱きしめながらいった。
「今日はいいよー。うーん、やっぱちゃんとご挨拶も終えてから」
「まあ、いつでもいいけど──ああ、部屋も少し片づけねぇとな」
千晶のものがある、華のものが置けるよう片付けなくては。
「──捨てたりしなくていいからね」
ぽつりといわれ、卓海も頷く。
「……段ボールでも買ってくる」
捨てようと思ったことはないが、手すら触れられなかった。これも機会だ、部屋の片隅にまとめておこう。
「さてっと、じゃあ帰るわ、また明日、駅で──」
濡れた手を拭いながらいうと、卓海が「えー」と声を上げる。
「飯くらい食ってけよ、礼子さんのご飯、あるぞ」
「え、それは藤原と夏希ちゃんの分でしょ」
「別に大丈夫だ、なあ夏希も、一緒にご飯食べたいよな?」
「うん!」
夏希の嬉しそうな声に華は笑顔になっていた、じゃあいただくね、と食事の支度を始める。
もっとも白米は朝炊かれた分があり、礼子が作ったおかずを並べるだけだが。
(これからは、私が作るのか)
ふたりにおいしいといってもらえるご飯を──そう思うとにわかに心が浮かれ出す。そんな未来は望んでいけないと思っていたのに。
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