勇者の礼儀

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 エルジュから詳細を聞いても理解ができず、グリオスは目を据わらせる。 「そんな礼儀は捨ててしまえ! 人を巻き込んでまでやるな。もう俺が身代わりになって魔物に弄られるのは勘弁してくれ」 「じゃあ庇わなきゃいい。オレはキモチよくなりたいし」 「……今さら見捨てられるか。バカ野郎」  顔を地図に戻してグリオスは息をつく。  何をされても効かないからといって放置なんかできない。  もし自分まで庇うことをやめてしまったら、この強すぎる勇者は――。 「ねぇグリオス。これからどこに行くの?」  エルジュに話しかけられて、グリオスの肩がわずかに跳ねた。 「あ、ああ。魔王の居城はここより北にある。山を越えるよりは洞窟を抜けて、森を突っ切ったほうが早く着くだろう」 「洞窟に森かあ……どんな魔物がいるか楽しみだなあ。んふふー」  ほんのり頬を染めながらエルジュがにんまりと笑う。  昨日あれだけヤったのに、もう性欲が溢れてしまっている。そんなエルジュにグリオスは頭痛を覚えることしかできなかった。
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