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『あぁ、やっぱり里子だったんだ』
美奈から届いた言葉の意味がわからず、すぐに返す。
『なにが?』
『私に、あれこれ面倒臭いこと指図してきたでしょ、コメントで。あれ、誰かなぁと思ってさ』
里子は先程送ったコメントを思い出す。多少腹が立ったかもしれないが、彼女は『やっぱり』と言った。
何故そのコメントが里子のだと予想ができたのだろうか。
すると、続けてメッセージがくる。
『流せなくて残念だったね』
『なんの話?』
里子は少し震えている指で返信を打つ。
『どこから手に入れたか知らないけど、昔のチャットのやりとりスクショしてるなんて、どうかしてる。遊びでやってただけなのに』
ますます意味が分からない。里子は身に覚えがなかった。
『もう流しても誰も信じてくれないよ。私は昔の地味な写真出して、自分がいじめられていたって、告白したんだから。今流しても、きっと悪者になんかならない。配信遅くなったくらいじゃ、フォロワーは離れてかないよ』
コメントを送ったのは自分だ。けれど、むしろ彼女のために、彼女のことを思って送ったメッセージだ。
『スクショは、私じゃない。嘘はよくない』
『私の普通の人生語ってもつまらないでしょ。馬鹿にされて下むいた子が変わる姿のほうがみんな喜ぶ。あんたのコメントも胡散臭かった。それとアカウントが同じだったし、言っている馬鹿馬鹿しい言葉の質が同じだよ。なによりここで反論してることが証拠でしょ』
『嘘ついている人に誰もついてかない』
そこから、彼女からメッセージが途絶えた。
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