プロローグ

1/1
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/178ページ

プロローグ

「そんな話聞きたくない!」  香奈が俺の話を遮るようにベンチから立ち上がった。そして走って公園を出る。その光景を見た瞬間、心臓に激痛が走る。右手で胸を抑えながら香奈を見た。香奈の姿がどんどん遠くなっていく。  同じだ。何度この光景を見たのか。  香奈を追いかけなければ。このまま香奈を行かせては行けない。  痛む胸を抑えベンチから立った。  香奈は横断歩道の前に立っていた。信号は赤だった。立ち止まっていた香奈が赤信号のままの横断歩道を進んだ。  右側から黒いトラックが走ってくる。香奈はトラックを待つように横断歩道の途中で立ち止まった。  香奈を止めなければ。 「香奈――――――――――――――!」  ありったけの声をあげた。  香奈は立ち止まったまま俺の方を見た。  次の瞬間、トラックが香奈を轢いた。
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!