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プロローグ
「そんな話聞きたくない!」
香奈が俺の話を遮るようにベンチから立ち上がった。そして走って公園を出る。その光景を見た瞬間、心臓に激痛が走る。右手で胸を抑えながら香奈を見た。香奈の姿がどんどん遠くなっていく。
同じだ。何度この光景を見たのか。
香奈を追いかけなければ。このまま香奈を行かせては行けない。
痛む胸を抑えベンチから立った。
香奈は横断歩道の前に立っていた。信号は赤だった。立ち止まっていた香奈が赤信号のままの横断歩道を進んだ。
右側から黒いトラックが走ってくる。香奈はトラックを待つように横断歩道の途中で立ち止まった。
香奈を止めなければ。
「香奈――――――――――――――!」
ありったけの声をあげた。
香奈は立ち止まったまま俺の方を見た。
次の瞬間、トラックが香奈を轢いた。
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