うちのパパが。

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私の名前は楠木愛子17歳、高校生です。 ママはいません。 私が五歳の時、離婚したきりです。 パパは平凡な会社員、楠木圭吾40歳。 課長どまりのしょぼくれおじさん、ほんとに今時のパパが羨ましくなるくらいです。 だって近所じゃ「髪の毛のあるナミヘイ」って言われてるんだもの。 イマドキの女子高生としては、チョイ悪位がいいなと思うんですが、私をこの年まで立派に育ててくれたパパは本当に尊敬しているんです。 そのパパが、朝、ていうか今。 朝ごはんを食べながら言いました。 「愛子、恋、してるか」 私びっくりしました。パパがこんなことをいうキャラだとは思いませんでした。 でも次の言葉に私はもう、自分のキャパシティーの限界を感じたのです。 「パパは今、本気の恋、してるんだ」 【うちのパパが。】 愛子、恋って大事だぞ。パパがママと出会った時にも感じたが、それは残念ながら六年で終わってしまった。 だけどお前がママとパパの結晶であることには間違いない。 本当だ。やめなさい、マジキモイというのは。 パパは真剣に話をしているんだ。学校に遅れる?いいからそこに座って箸をとりなさい。食べながら話をしよう。醤油取ってくれ。ああ、ありがとう。 パパはな、ママと別れた時に誓った。もう恋愛などはしないと。お前とリッキーだけがいればいい。恋なんか、くそくらえだ。 パパは真面目に生きてきたんだ。失楽園?中年同士の恋? いつだってパパはお前の元へ飛んで帰ってきただろう?世界の誰よりお前を愛している、から…パパは、パパは…。 …すまん。最近特に涙もろいんだ。 愛子、恋をしなさい。いい恋愛をするんだ。 パパは変わった、いや変わりつつあるよ。お前が思春期にさしかかり、むずかしい時だと思うし、そろそろ彼氏なんかも出来る頃だ。 そんな時はパパに相談しなさい。一緒に悩もう、な?な?な? 「やだ、まじでどうしたの、こわいよパパ」 私はドン引きでした。真面目一筋の人が壊れると怖いって本当ですね。でもパパは私が本気で引いている事に気がつかないんです!!そればかりか頬を赤らめました。 パパ、目がキラキラしてます。助けてー!でもここにはパパと私しかいないんです。サ○エさん!うちのナミヘイがなんか乙女です! そして勝手に語りはじめました。 「パパとその人との出会いは取引先の会社だったんだ。年は30歳だが、もっと若く見える」 「もういいよパパやめて」 「いや、聞くんだ愛子!パパの事をもっとよく知ってくれ!」 「知りたくないよ!やだよパパ!あたしその先の事聞いてなんて答えたらいいの!」 「ありのまま、さ。あ・い・こ」 そしてあろうことかナミヘイはウインクしたのです。 できることならぶん殴りたいです。
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