栗田優の場合

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 被害者・津島典明、身長百八十五センチ、体重九十二キロの筋肉質で大柄な男性、四十二歳。周辺地域をスピーカーを付けた大型車で走り回るいわゆる愛国者団体員。  過去に二度逮捕され、実刑判決により十五年前に三年ほど服役。その時期に獄中結婚するも、出所後に離婚。死亡が確認される前に所属していた『憂国再建塾』にて街宣車の運転手をしていた。右翼標榜団体、いわゆるゴロツキ。  趣味はギャンブル。素行の悪さからトラブルは絶えない。  遺体の背中にスタンガンを押し当てたようなヤケド跡あり。全身に紐で縛られた跡もあり、電気ショックで気絶させられた後に長時間拘束された模様。  首元に数か所新しい注射痕あり。血液からトルエン、酢酸エステル、アルコールなどが検出されたことからシンナーのような有機溶剤を首の太い血管に注射されたことが死因とされる。  高身長だったためか、死後に両手足を切断されてキャリーケースに詰められており、顔に赤いペンキで鳥居が描かれていた。キャリーケースのポケットに入っていた錆びた十円玉は、当初無関係と思われていたが、栗田の件と合わせて同一犯による犯行と推定される。
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