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猟奇殺人において、犯行現場に意味を見出そうとする犯人は多い。自己の存在を主張するためであったり、あるいは――
「何かしらのメッセージ、とかかしら」
その場合、問題になるのはその"相手"である。発信するならば受信する側が必ず存在している。それが警察やマスコミ、または――『コックリさん』に関係する誰かだろう。
「栗田の周辺は失踪時にあらかた聞き込みが終わってますね。津島はマル暴絡みなんで協力要請出します?」
「バカだなぁ。いいか、タカ。こういうのは――」
「あいたっ! なんすか!?」
源次が隆晴の太ももを叩く。景気のいい音が部屋に響いた。
「足で稼ぐのが捜査の基本だぞ。行くぞ」
「待ってくださいよゲンさん! 足いてぇ……」
源次は自分のデスクの椅子にかけていたジャケットを取り、外に出る。隆晴はズボンの中で赤くなっている足を引きずって後を追った。
「やれやれ、騒がしい男どもだわ。さてっと」
咲は残された資料に再度視線を落とす。写っている青く錆びた十円玉。立派な作りの平等院鳳凰堂、裏面には10と製造年を示す年銘があった。
「昭和五十年、……こっちは昭和六十一年。古いわね。まあいくらでもあるものだし……」
次に被害者二人の情報が書かれたものを見て――
「ん。これって――」
津島の出生は西暦1975年、栗田は西暦1986年。和暦も併記されており、それぞれ昭和50年と昭和61年と記載されていた。
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